KAB Dialogue インタビュー/対談

Vol.9

インタビュー2013.04.16 UP

煎じ薬でも治らぬ、板の間と暮らしの公転

鏡世界社

  • 聞き手:今井勇二
  • 撮影:松本亮太

「つまらない物」に怒り、動く企業がある。それは謎のアーティストを抱える、現在世間から注目を集めている「鏡世界社」である。その過激なルックス、挑発的なパフォーマンスで物議を巻き起こすアーティストを抱えつつも、着実に成功を収める注目の企業。その裏側にある実態を探るべく筆者はこの会社のテナントのあるビルへ向かった。これは貴重な彼らの言葉、いや。「お告げ」である。
実態より早く。つまらないイメージを脱ぎ捨てた次元のさらに先を求め―


鏡世界社 企業ロゴマーク

―これまでの活動についてお願い致します。

松見 2009年に設立された「非営利を装いつつ、いかに効率的に利益を算出するか」を考えている企業です。私たちの会社には「犯罪ボーイズ」というアーティストが所属しているのですが、現在、彼らのプロデュースから管理、生活面での世話までを徹底して行っております。いわば芸能事務所的な役割と考えていただいてかまいません。
主な業務は、制作環境の確保からノベルティーグッズの製作補助、販売ルートの確保、そして国内、および海外での活動に際する資金面・体調面のサポートを行っております。当社では現在「犯罪ボーイズ」を主力アーティストとして活動していますが、新しいアーティストを随時増やしていくプロジェクトも進めています。

NAZE ずばぬけてその通りですね。

―本日お越し頂いたお二方はどういった業務をされているのですか?

(左から)松見拓也、NAZE、今井勇二

松見 私は代表取締役代理という役職に就き、先ほど申し上げた業務以外では経理、広報活動及び雑務全般を行っております。

NAZE ボクは主に清掃やお茶くみ。重要な業務としてはコピー業務をやっていますよ。コピーはとても楽しいですね。この前も楽しくて夢中で1000枚ほどコピーしちゃいましてね。気がつくともう丑三つ時。みんないなくて探してさまよっているうちに会社内で遭難してしまいました(笑)。

―はい。ではお二人の出会いのエピソードをお聞かせください。

NAZE ぼくが常日頃から王室にある「狭いゼブラ」というBARにたむろしていた頃の話ですね。

松見 私も「狭いゼブラ」に出入りしておりまして、当時は粘土細工をその王室から窯のある街まで運搬するアルバイトに就いておりました。そこでNAZE氏と「犯罪ボーイズ」の二人とも出会ったのです。

NAZE そういえば、その当時松見君は神品を梱包してましたね。私は友達の昆虫カミキリムシと土器を奮い立たせていたのですが、松見君の梱包・運搬作業を犯罪ボーイズと手伝った事から出会いました。私はそこで現在の「鏡世界社」(当時のMirrorZone co.)の社長の存在を知りました。

松見 そうそう、運搬業務の手伝いを行ってくれて、それからすぐに意気投合。NAZEくんは鏡世界社に入社し、犯罪ボーイズは私どもの会社の第一号のアーティストとなりました。

NAZE その当時、そのBARには新米アーティストや大物作家などの上玉が集まっていました。いうなれば虚弱体質の人たちですね。そしてアーティストというのはさまざまな物を溜め込みますからね。

―溜め込む。それはいったいどういうことですか?

NAZE 溜め込むと言えば軍人ですね。軍人ですよ。やはりアーティストはある種、外部のノイズとの戦いであります!兵力を持つ事が勝利という栄光、未来への道を切り開くのです。やはり物価の高騰などに対抗するには兵力に勝るものはありません。野次馬的にスーパーマーケット前で「値上げ反対!!」などのプラカードを掲げてすぐさま我先に逃げる!!こういった活動のために兵力は重要なファクターとなるのであります。

犯罪ボーイズ「ちちまん坊やは、まだ眠っている」2011

―社会的活動も行っていると?

NAZE そうですね。ダダイズム的に言うと。

―ダダイズム。わかりました。社長は現在は日本に在住されているのですか?

松見 わかりません。率直に申し上げますと、私も直接お話をしたことはありません。連絡は常に神戸にある指定の公衆電話にかかってくるようになっています。常にその場を離れられないので私自身、多忙を極めています。

―お二人は新しく京都の東山にスタジオを借りたようなのですが。

松見 このスタジオはHAPSさんに紹介して頂きました。閉校になった小学校の理科室を使用しています。理科室の匂いは頭を刺激されます。小学校の頃の思い出などからインスピレーションを得ることも多いですね。とても気に入っています。パンや燻製(ササミ・タマゴ・鮭など)の製造、お食事会などをおこなっていければと考えています。アーティストに限らずいろんな人が集まれる場所にできたら良いなと思います。

NAZE 我が社がいま最も注目している男女七人組グループ「TsETsE(ツェツェ)」さんをご存知ですよね?「すってんころりん」「すってんてん」「すっとんきょう」といったコンセプトで酒の貿易などを行っているグループです。今後スタジオで彼らの稽古や教育を行っていきます。リーダーの「大仏さん」はほんとに大仏みたいな人なんです。とにかく私の大先輩ともいえる方なのですが、同じ時代に生きていることを光栄に感じています。

犯罪ボーイズ「嘘つきおじいちゃん拷問中」2012

ーえ?では、今後の展望をお聞かせください。

松見 アーティストとか、アートとかそういった枠組みに疑問を感じています。疑問というより「どうでもいい」といった感覚でしょうか。今は山に住んでデカい犬を飼いたいというのが最も大きな目標です。それしか考えていないです。

NAZE 今までは作品を作り出す時、なんというか、初期衝動というか「ンン!!」みたいな感情で作品を生み出してきましたが、今は少し何かに入り込もうとしている。どういう風に見せよう?とかっていうのを考えてしまいます。なんでそうなっちゃったんでしょうかね。ほんとは理由なんていらないはずなんですけど。 でも、絵描くのも、武器も楽しいです。いままで通り。作りたい物を作っていきます。

■ 取材日:2012年3月4日(月) ■ 取材場所:痙攣クラブ ■ 監修:HAPS http://haps-kyoto.com/

Plofile

鏡世界社(松見拓也、NAZE)

ともに京都精華大学デザイン学部卒業。松見拓也が写真やグラフィックデザインを、NAZEがドローイングや 立体作品を主に扱う。
両者は2010年よりパフォーマンスユニット contact Gonzoにも加入している。
廃材を収集し、それらを立体作品の制作やパフォーマンスに使用する。不要と見られる廃材に新たな価値を付加し、鑑賞者自身もイベントに参加 することで、全員に発見が生まれ,楽しむことができる場を作る。旧来の絵や彫刻ではなく、音楽や料理・パーティ・パフォーマンスを通して広がりのあるイベントを、多様な人たちが参加できる企画をしている。また燻製処として各イベントやお祝いに自家燻製料理の提供もしている。
http://www.youtube.com/user/HanzaiBoys

今井 勇二(Yuji Imai)

京都市生まれ。京都在住。
クラブ「京都metro」にて隔月開催のパーティ「Undermine」レジデンツDJ。
その他、京都を中心にさまざまな分野で地下活動中。
imaiyuji024@gmail.com

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