美術家・国谷隆志(くにたに・たかし/1974年・京都生まれ)は、『人間の空間への関わりにおいて、自分を取り巻く世界、物事についてのあり方を問うこと、さらに人はそれらとどのように向き合うのか』に関心を寄せ、鑑賞者に身体(肉体・主体)の「位置」への自覚を促すことを主眼に表現を展開させてきました。
本展「 Multidimensiona(l =多次元)」は、3フロアにわたる展示空間のそれぞれを、2階をX軸(水平)、3階をZ軸(奥行き)、4階をY軸(垂直)への意識を促す場として構成しています。これらは私たちの三次元による認識を解体・再構築するように展開します。また、変化する外光には、それら空間に流れる時間の存在をも感じることができるでしょう。
しかし、私たちの認識し得る「場」は、こうした「三次元」や「時間」といったものだけではなく、私たちの想像や記憶、感性の広がる空間にも及ぶかもしれません。
それぞれの次元の広がりに眼差しを引き込む国谷の作品を眺める中で、私たちは未だ不可視の異なる次元に触れ、その存在を感じることが出来るのではないでしょうか。