京都芸術センターは、創作のためのひらかれた施設として2000年にオープンしました。開館以来、展覧会、パフォーマンスなどの多様な形でアーティストたちの作品が提示され続けています。
しかし、作品と一口に言っても、絵画、ダンスなどのいわゆる「作品」だけが「作品」とはいえず、展覧会・パフォーマンスが行われている空間、その瞬間、そこに居合わせた人たちが存在する/関わることによって生成される場を一つの作品としてみることもできるのではないでしょうか。
本展では、展覧会という形式をとりつつ、三組のアーティストが、京都芸術センターの特徴的な北・南ギャラリーという二つの部屋を同時につかいながらそれぞれ作りだす三つの時間・場を提示します。一ヶ月にわたる展覧会会期中に、それら三つのケースを順々に追っていきます。
私たちの身の置き方によって、三つのケースの時間と状況は様々に変化しうるでしょう。それは、この展覧会を共につくることに他なりません。アーティストの試みを、私たちが拡張する刺激的な場をお楽しみください。
【ケース1:立ち会う】
関川航平「散歩られ」
会期:2019年8月27日(火)-9月5日(木)
例えば、散歩をしているあなたが足を交互に動かすと過ぎ去っている周辺の景色のどこかに目が留まれば名前を呼べるので声に出すことはなくとも呼ばれることのできるそれがそれ以外の周辺と区切れのない風景として散歩をしているあなたを見送る時、風景の中の何かは散歩するあなたによって散歩られているのか。
【ケース2:選択する、決定する】
山中suplex「二つの部屋、三つのケース」
会期:9月7日(土)-9月16日(月・祝)
ギャラリー北と南を、山中suplexに見立て、STORAGE [倉庫]とWORKSHOP [工房]の機能を持たせます。二つの空間を使用した三回のワークショップを行い、山中suplexメンバーとワークショップ参加者とで作る三つの"ケース"を提示します。
ワークショップ参加者募集:詳細は以下よりご覧ください。
https://www.kac.or.jp/events/26531/
【ケース3:演じる】
タカハシ 'タカカーン' セイジ「京都レクリエーションセンター ~施設のための試演~」
会期:9月20日(金)-9月29日(日)
当センターは、施設のための試演(みかたの共同開発を目的とし、「すごす」ことを手段とします。ときには「やってみたかったことをやってみるための時間」があり、日々の終わりに「試演会議」を開くのですが、「残せなさ」「残らなさ」を「残したさを伴って伝え続けてもらうこと」)を行います(2019.7.2現在)。