展覧会によせて
例えば手を伸ばしてものをとろうとした時に1mという距離は少し遠い。歩いて10分という距離を遠いと感じる人もいれば、そうでないと感じる人もいる。ものが見えるという距離を、感覚の届くテリトリーだとするならば何万光年先の光だって見ることができる。
手を伸ばすことにとっての遠さ、身体を移動させることにとっての、また見ることにおける遠さ、あるいはもっと抽象的な。遠さにもいろいろある。
いったいどこからが遠くといえるのだろう。
ふとそう考えた時に自分の周りの世界というものが急に今まで感じていたのとは違うように立ち現れてきた。それは、僕は何か答えを出したり発明したりしたわけではないけれど、ただすこし心の中に一つの問いを持ったことで、いままでと違うふうにいろんなものが見えた。まるで世界が作り直される。
この体験は自分にとって芸術というものが持つ意味そのものであるし、また絵を描くことそのものでもある。
じつはこの展覧会を見に来てくれた方にはいちど、「どこから遠くなのだろう」と心の中で唱えて世界を見てほしいと思っていて、そういった体験を探してほしいし見つけてほしい。
もしこの展覧会がその場となるなら、とても嬉しいです。
「What's Next?」ARTZONE(京都) 2014 展示写真