第二次世界大戦後、著名な知識人たちの提言は、民主主義の発展にとって大きな役割を果たしてきました。「過去の克服」から「ビッグデータ」にいたるまで、社会的な意識形成に重要な課題が作家や哲学者、演劇人らによって提起され、広く一般に議論が行われてきました。
インターネットの登場は、私たちの社会関与に全く新しいかたちを切り拓きましたが、それは同時に世論の形成方法に変化をもたらし、従来のオピニオンリーダーとしての知識人や伝統的なメディアの重要性が脅かされることにも繫がっています。
これまで世論形成においては、人文科学に基づく教養が民主主義的な議論の根底を成してきました。人文科学を通して身につけた高い教養や批判的思考力は、電子メディアのもたらしたスピード情報社会における議論でも必要でしょうか? Twitter、Facebook、LINEなどを始めとする新しいデジタルメディアは、知識人らの活躍する“舞台”として適しているでしょうか? 薄れつつある知識人の存在感や人文科学は、現代社会の意識形成にどのような影響を与えているのでしょうか?
戦後70年、そして、東西ドイツ再統一25周年という節目のいま、現代社会の世論形成や、教育・政治的意思形成の可能性や挑戦について、日独両国の視点から討論します。
【参加者】
ユルゲン・カウベ(フランクフルター・アルゲマイネ紙 共同発行人/学芸面総責任者)
クリストフ・ビーバー(デュースブルク・エッセン大学教授)
岩本 裕 (NHKジャーナルキャスター)
津田 大介 (ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)
司会: 佐藤 卓己 (京都大学大学院教授)
日独シンポジウム 『ネット時代と世論形成』