京都市立芸術大学芸術資料館収蔵品展 ARTであしあと6 図案科卒業・修了作品 衣によそおう

ジャンル
  • 美術
形 態
  • 展覧会
学生と教員の関係から生まれる学びの足跡を、作品を通して紹介する「アートであしあと」の第6回は、本学芸術資料館の収蔵品より、京都市立美術工芸学校図案科卒業作品の中から、明治後期より昭和戦前期までの間に制作された衣装及び装身具に関わる作品を選び展示します。本学の前身にあたる京都府画学校に、意匠図案の専攻ができたのは明治21年のことです。最初は応用画学科と呼ばれていましたが、校名改称、組織変更を繰り返し、明治32年にようやく図案科という名称に落ち着きました。もともと京都府画学校は、染織や陶磁器などの地域産業の振興を期待して生まれたものでした。しかし、当初の教育は画家を育てることに偏重してしまい、周囲の期待に応えるには時間がかかりました。まだ工芸は美術の一部というより産業の一部と捉えられていたのです。初期の図案教育が、日本画家である谷口香嶠(1864-1915)によって行われていたことを見ても、京都という地域が持つ保守的な美意識をうかがうことができます。日本絵画と意匠図案という教育の柱は、美術工芸学校への組織改編の中で明確に意識されるようになりました。そして神坂雪佳(1866-1942)や古谷紅麟(1875-1910)ら図案を専門とする教員が教鞭を執るようになり、明治42年には学外と連携した美工会のような図案家の組織が校内に生まれ、この時期学校と社会は比較的円滑な協力体制を築くことに成功しています。当時、図案に関わる海外の情報も少なからず流入していましたが、この学校では、写生と琳派をはじめとする日本の古典から発想することが重視されました。美術工芸学校の図案科は、長い歴史の中で伝統産業の分野に多くの人材を送り出しました。しかし、その教育は図案意匠の制作に特化しており、実制作に結びつく教育は、地域の工房にゆだねていました。京都に根付いた分業体制の中でこの図案教育は展開したのです。結果として図案家の活動は見えにくくなり、今日ではその足跡が辿れない人も少なくありません。ここに展示する卒業作品は、京都における二大染織産業である友禅染と西陣織による制作のための図案です。日清戦争後の日本の軽工業の発展を受けて、京都でも染物や織物の需要に応える必要が生まれていました。美工会の研究会では、西村総左衛門(千総)や飯田新七(高島屋)ら染織産業界からの図案課題が提出され、相互の意見交換を経て購入されたといいます。京都染織産業界の華々しい発展と歩みを共にした衣装図案の世界を、皆様どうぞごゆっくりご鑑賞ください。
展覧会チラシ

イベント情報

日時
2015年8月27日(木)~ 2015年9月6日(日)
11:00〜19:00(最終入場18:30まで)
毎週月曜日休み
場所
[中京区]
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
京都市中京区押油小路町238-1

地下鉄:「二条城前」駅(2番出口)
南東へ徒歩約3分
市バス:「堀川御池」バス停下車すぐ
料金
無料
URL
http://gallery.kcua.ac.jp/exhibitions/20150827_id=7274#ja
主催
京都市立芸術大学
問合せ先
075-253-1509
※内容は変更になる場合があります。詳細は各イベント主催者にお問い合わせください。
※チケットや申込みが必要なものは、売り切れあるいは定員に達している場合があります。ご了承ください。