一説では、本年は世阿弥(1363or64~1443)生誕650年とされます。その世阿弥は『風姿花伝』「第一年来稽古條々」で能役者の成長過程を「7歳、12-3歳、17-8歳、24-5歳、34-5歳、44-5歳、50有余」の7期に分け、それぞれの段階の特徴と課題と芸境を明確に示しています。例えば12-3歳の特徴は「童形なれば、何としたるも幽玄」ですが、17-8歳にもなると「声変りぬれば、第一の花失せ」るので、だからこそ「心中には、願力を起して、一期の堺ここなりと、生涯にかけて能を捨てぬより外は、稽古あるべからず。ここにて捨つれば、そのまま能は止まるべし」と強調しています。この「稽古」や能楽修行の問題を、現代の教育との比較によって浮き彫りにし、「学び」(真似び)のあり方を再考したいと思います。
【プログラム】
開会挨拶:吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター長)
趣旨説明:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授・宗教哲学・民俗学)
第1部:能の稽古の伝承のトーク
観世清河寿(観世流二十六世宗家)、観世三郎太、鎌田東二(司会)
実演:舞囃子
観世清河寿、観世三郎太
第2部 :シンポジウム「能の伝承~稽古と修行と教育」
観世清河寿、観世三郎太、西平直(京都大学教育学研究科教授・教育人間学)、
河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター教授・臨床心理学)、鎌田東二(司会)