本展覧会は、京都精華大学映像コースの岩田萌と木田小百合によるインスタレーション展です。
今回この展覧会で私たちが試みるのは、「記憶」の標本化です。
私たちは普段過去の「記憶」を頼りに生きていますが、その「記憶」は私たちが思う以上に危うく不確かなものです。もし、標本を作るように― つまり生物の死骸にピンを打ち込み、あるいは薬液に浸し生きていた時の姿形を固定するように― 「記憶」にも何らかの処理を施し、半永久的に不変のものとして保存することができるとしたら。
それは、私たちの過去を時間の浸食から保護するための唯一の手段なのではないでしょうか。
記憶の標本を作るという作業を通して、「記憶する」というありふれた行為について改めて考察してみたいと思います。