KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2016 AUTUMN 公式プログラム [展示]小泉明郎 『CONFESSIONS』

ジャンル
  • 美術
  • その他
形 態
  • 展覧会
人間の精神の実験室

内奥の感情や記憶をテーマとした映像作品で人間の心理を探求する小泉明郎。彼の作品が演劇的とも評されるのは、第一に、登場人物の演技と、それに対する小泉本人の指示出しのような演劇的状況を、そのままカメラに収めることを常套手段として用いているためだろう。しかし、意図された役柄ではなく別の何ものかが登場人物に憑依し、演技という枠を越え出る瞬間、過剰なものを呼び込んだ異様な心理劇へと変化する。その意味で小泉の作品は、映像という「メディア=霊媒」による口寄せの儀式であるといってもよいだろう。
本展では、「告白」をキーワードに選出された二つの作品を展示する。映像作家であり「演出家」でもある小泉は、何者かの個人的な秘密を暴露するだけには留まらず、感情や記憶といった亡霊が他者へと転移していく様子を映し出す。《忘却の地にて》は、21歳の時に交通事故で脳に損傷を受け、それ以来、記憶障害を抱えて生活してきた、ある男性とともに制作された。小泉が彼に与えた指示は、一人の日本兵のトラウマに関する証言を記憶して、読み上げるということである。

本作はこの証言の再現記録と、心象風景のような抽象的なシーンの2つの映像からなる。目に見えない情動や声にならない声までをも映し出す本作は、人間の記憶がどのようにして、誰によって、誰に対して語られえる/語られえないのかを問う。
一方、《最後の詩》は、小泉のFacebook上での呼びかけに応じた、匿名の個人6名へのインタビューと都市の風景から構成されている。素性不明の彼らに覆面を被らせ、人前では絶対に言えないような心の奥底の思いを打ち明けるように小泉は促す。しかし、彼らの声は、東京の街頭のフィールドレコーディングの雑多な音によって吹き替えられ、ことばの意味や込められた感情から切り離された「音」として再生される。発話の主体を宙づりにすることで、都市に潜在する狂気が浮かび上がってくる。
いずれの作品も、自己のアイデンティティを担保するはずの記憶や感情の所在が曖昧になっていく感覚をもたらす。声を別の身体に憑依させることでリアリティーを増幅する小泉の手法の特異性が際立つ個展。

イベント情報

日時
2016年10月28日(金)~ 2016年11月27日(日)
10:00−20:00
会期中無休
場所
[中京区]
京都芸術センター ギャラリー北・南
〒604-8156
京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2

地下鉄烏丸線「四条駅」、阪急京都線「烏丸駅」下車、徒歩5分
料金
無料
URL
http://kyoto-ex.jp/2016-autumn/program/meiro-koizumi/
問合せ先
TEL 075-213-5839 / FAX 075-213-5849
KYOTO EXPERIMENT事務局(平日 11:00-19:00)
〒604-8152 京都市中京区烏丸通蛸薬師下ル手洗水町645 flowing KARASUMA 2F
※内容は変更になる場合があります。詳細は各イベント主催者にお問い合わせください。
※チケットや申込みが必要なものは、売り切れあるいは定員に達している場合があります。ご了承ください。